こどもの病院環境&プレイセラピーネットワーク(NPHC)第9回NPHCフォーラム 講演録
講演:
*開会の辞・趣旨説明:柳澤 要(NPHC代表,千葉大学工学部助教授)
*パネラー講演(五十音順)
T.「近畿大学医学部附属病院における病棟保育について」
鈴木理恵氏(近畿大学医学部附属病院 小児科保育士)
U.「順天堂大学医学部附属病院におけるチャイルド・ライフとドラマセラピー」
井口雅子氏(前・順天堂大学医学部附属病院 チャイルド・ライフ・スペシャリスト,ドラマセラスト)
早田典子氏(現・順天堂大学医学部附属病院 チャイルド・ライフ・スペシャリスト)
V.「博慈会記念総合病院における病棟保育について」
河野拓二氏(博慈会記念総合病院病棟保育士)
*パネルディスカッション
開催:2006年12月2日(土)13:00〜17:00
会場:東京電機大学神田校舎 本館3階301教室
主催:こどもの病院環境&プレイセラピーネットワーク(NPHC)
後援: 東京電機大学エクステンションセンター
パネラー講演)
T.「近畿大学医学部附属病院における病棟保育について」
鈴木 理恵 氏(近畿大学医学部附属病院小児科保育士)
当院における保育士領域の確立と実施に関してのお話をしたいと思います。
平成14年に診療報酬の改正で保育加算がされるようになりましたが,施設基準としては,プレイルームがあること,玩具があること,保育士がいることなどが挙げられます。私は平成17年度から,当院初の保育士として近畿大学医学部附属病院(特定機能病院であり,保育士加算なない。担当病床は57床)で就業していますが,当初は他の部門より,保育士がかかわることで,子どもが動く機会が増え,それによって事故が増加するのではないかなどの懸念があったようです。しかし,今年度(平成18年度)には1名保育士が増員され,19年度にはさらに1名増員される予定で,着実に現場の理解も進んでいます。
保育士の勤務時間は,平日は9:00から17:00まで,土曜日は9:00から12:30までで,事務職などと同じ勤務時間です。またこれは看護師の欠員としての配置ではなく,技術職として看護部の一職種となっています。なお現在在職の2名の保育士は,それぞれ集団保育と個別保育の担当で,役割分担をしています。集団保育は午前中に行われ,砂遊び(抗菌加工されている砂を使用)などをしています。
保育士に求められる条件としては下記があげられます。
・約束を守ること(簡単・単純なようだがとても重要です。子どもとのやり取りで成り行き上,口任せ的に約束をするのではなく,約束したならきちんと守ることが大切です)
・痛いこと・つらいことを行わず,安心して遊べる相手であること
・豊かな遊びの提供者であること
保育士を導入してからの課題としては,保育費の確保,他職種との連携と情報の共有,専門知識の習得などがあります。また現在の2名の保育士で,57床を網羅することは困難なので,人手不足の問題もあります。ゆえに保育士の存在のアピールの必要性がありますが,そのための作戦として,私は以下の7つを実施しています。
1)他職種との連携
まず医師・看護師など医療スタッフとの連携が重要で,他のスタッフの目に留まるようにカルテに保育士も記録するようにしました。なお記録には,患者の治療方針に対する保育士の役割を踏まえて記入するようにしました。また小児科以外の部門との連携も重要で,栄養部・リハビリスタッフ・衛生士などに対して,子どもの特性を踏まえた食事やサービスの提供への配慮を依頼しました。
2)病棟行事の充実
初年度は特に1人勤務でであったため,57名のそれぞれの子どもへのかかわりが十分にできませんでした。そこでさまざまな行事を企画・実行しました。行事・イベントの目的には,単調になりがちな病棟生活に季節感を持たせる,外とのつながりの機会を与える,子どもと医療スタッフとの距離を縮めコミュニケーションの促進を図るなどがあります。実際,医師などから子どもを知る良い機会になったと評価してもらいました。平成17年度から臨床研修医制度が変わり,卒業後2年間,研修医が全員2ヶ月ずつ小児研修をすることになりましたが,その研修の1ヶ月目に行事に参加するように設定しました。行事参加後に研修医に対してアンケートを行いましたが,行事に医師が参加するのは必要である,行事に参加してよかったなどの項目はほとんどの医師が同意していました。行事は月に1〜3回程度,例えばプロ野球選手やミッキーマウス,ハローキティなどのキャラクターが来院して,子どもを励ますイベントなどをしています。ちなみにイベントをきっかけとして取材が多く入るようになったり(そのためプライバシーの保護・考慮が必要とされ対応しております),外部に依頼する場合には,対外的な窓口となる事務スタッフに病棟保育活動の認識向上が得られたという効果もありました。
3)その他のイベント
その他としては,平成18年度からクリニクラウン(臨床道化師)を依頼し,毎週木曜日(15:00〜17:00)に活動を行ってもらっています。また同18年度から毎週金曜日の午前中に音楽療法を導入しています。
4)ホスピタルアート(他大学との連携)
当病棟は,もともと成人用病棟であったため,子どもにとって殺風景となりがちです。そこで大阪成蹊大学・芸術学部に「病院・小児病棟の環境」というテーマで,共同研究を持ちかけ,平成19年1月から子どもと一緒に院内に絵を描いていく予定となっています。
5)個々への対応
「メイク・ア・ウィッシュ・オブジャパン」の活動により展開しています。
6)より効果を明確にしていくための試み
保育士の活動に関しての研究発表・院内発表をするとともに,具体的な課題を提示し,必要性を認識してもらっています。
7)手ごたえとして
看護師からは,「泣いている子どもが減った」などの評価をもらいました。また家族からは「病棟が明るくなった,楽しみが増えた」などの意見がありました。また保育士活動支援への具体的成果としては,保育士の増員,個人研究費確保,学会参加への理解などがあげられます。今後も引き続き保育士活動のアピールをしていきたいと考えています。
U.「順天堂大学医学部附属病院におけるチャイルド・ライフとドラマセラピー」
井口 雅子 氏(前・順天堂大学医学部附属病院チャイルド・ライフ・スペシャリスト,ドラマセラピスト)
早田 典子 氏(現・順天堂大学医学部附属病院チャイルド・ライフ・スペシャリスト)
当院の小児病棟には,小児外科,内科系小児科,NICU・新生児医療の3病棟があります(各35床,計105床)。
以下3つについてお話をしたいと思います。
・チャイルド・ライフ・スペシャリスト導入(2005年8月)までの
経緯と,現在までの活動(井口)
・ドラマセラピーを生かした活動(井口)
・多職種との連携(早田)
1.チャイルド・ライフ・スペシャリスト(以下CLS)導入(2005年8月)までの経緯とドラマセラピーを生かした活動
(井口 雅子氏)
私の経緯をお話しますと,大学の演劇活動を通して演劇の持つ力の実感したこと,その後の児童館勤務で子どもとふれあう経験を得たこと,またコミュニティでの演劇,演劇教育に興味を持ったこと,そしてインターンシップ先でCLSの世界に触れたこと,ドラマセラピーと出会ったことなどがあげられます。ちなみに順天堂大学病院での勤務は2005年8月から2006年8月まででした。
チャイルド・ライフ・プログラムとは,こどもやその家族が持つ病気や治療に関する不安やストレスを軽減し,子ども本来の発達を援助するためのものです。日本チャイルド・ライフ研究会のホームページによると,チャイルド・ライフの基本理念は,子どもは尊厳ある存在であり,子どもには力があることを理解し,子どもの目線に立って考えることが重要とあります。
当院でのCLS導入までの経緯をお話しますと,もともと家族支援の重要性に対する理解や試みの土壌があり,2000年には「病棟アメニティ委員会」が設置され,2004年1月には英国ホスピタル・プレイスペシャリストの資格を有する医師が復職したこと,その後「病棟アメニティ委員会」により病院・病棟環境の見直しが行われたことなどが挙げられます。またプリパレーションが実施され,オリジナルグッズ「もしもしガイドブック」などが作成されたりしました。さらにさまざまな病棟行事の実施やボランティア参加による遊び,アートセラピーなどの実践もありました。
当院におけるCLSの役割ですが,以下の4つの活動が挙げられます。
・遊びの支援:ストレスや不安の軽減,環境適応を目的に。
・診療後の支援:メディカル・プレイなど,感情表出の機会として。
・家族支援:母親を入れて三者で遊ぶ,または母親の休養の機会として。
・管理運営:プレイルームの管理,寄付金の授与
当院で実践されているクリエイティブ・アート・セラピー(以下CAT)についてご説明します。これは言語を超えた表現活動への積極的参加により,心身の統合的なバランスを目指す諸芸術療法(アート,音楽,ドラマ,ダンス/ムーブメントセラピーなど)の総称です。これを担当するクリエイティブ・アート・セラピストは,状況やニーズに適した媒体を選び,子どもが表現したいことをシンボルや抽象的表現にて表出する手助けをします。CATの1つであるドラマセラピーとは,演じることやイメージの世界の持つ力を意図的に用いることで,症状の改善や自己の再発見,再認識を助ける心理療法です。チャイルド・ライフ・プログラムにおけるドラマセラピーの役割としては,「ドラマ」という安全な枠組みの中で,体験を語り,感情を表現する機会の提供、想像,創造力を用い,対処法を修得する機会の提供があります。
ドラマセラピーを生かした取り組みの具体例としては,小学校高学年以上の児童を対象としたストーリーメイキングがあります。これは子どもが闇雲にぐしゃぐしゃに描いた線から読み取れる絵を抽出し,それを使って物語を考えるなどの作業・活動を行うものです。また指人形を用いて物語を作るなど感情表出の機会を与える活動もあります。初年度を振り返って私が感じた課題としては,スタッフの人数的・時間的制約によるサービス提供の限界があったことで,今後はスタッフ間の連携の促進が望まれます。
2.多職種との連携(早田 典子氏)
私の経緯をお話しますと,大学在学中「CLS」を紹介した新聞記事に遭遇したこと,卒業論文は「病院における子ども支援プログラム」に関する研究で,研究中に国内外の病院視察に参加する機会があったこと,卒業後,東京電機大学の野村みどり研究室の研究生を経て,カナダでCLSになるために留学したことが挙げられます。2006年6月にカナダから帰国し,8月より当院に勤務しています。
私からは,当院のCLSの他の多職種との連携のお話しをします。まず医師との連携ですが,これには発達グループと児童精神グループがあります。発達グループの医師とリハビリテーション科(PT,OT)との連携では「遊びの発達支援」があり,これは毎週水曜日の朝の回診への同行,そしてPTまたはOTがリハビリ室あるいは病室で行っているリハビリを,日々の遊びを通して実施することなどがあります。また児童精神グループとの連携では「入院患者とその家族の精神的ケア」です。それは,患者やその家族に対する日々の精神的なケアだけではなく,死別した家族(きょうだいも含む)の支援も含みます。死別したきょうだい,家族の支援には,「メモリーボックス(思い出をつめた箱)」の作成があります。具体的な例をお話しすると,両親の希望もあって弟を亡くした5歳の姉に対して「今後も亡くなった弟はそばにいるよ」というメッセージを込めて,メモリーボックスの作成を進めました。メモリーボックスには,姉が描いた弟の絵や折り紙の作品や,生前撮った写真を使って両親が作成したスクラップ・ブックと亡くなった子どもに宛てた手紙を入れました。
次に看護師との連携ですが,これにはカンファレンスへの参加,長期入院患者を対象とした生活支援,子どもにお医者さんごっこの機会を与える「もしもしコーナー」の復活(4〜5年前に一度開始されたが,管理者不在のため中止だった)などがあげられます。
ボランティアとの連携も必要です。ボランティアは毎週水曜(手術日)午前中に,手術を控えた子どもを中心に遊びを提供しています。この際にボランティアはプレイルームで,CLSは病室で活動することができ,より多くの子どもを支援することが可能になります。なおCLSは,ボランティアの管轄責任者としての業務を担っています。
さらに,音楽療法士との連携もあります。当院では毎週金曜日午後に音楽療法士による「おうたの会」があります。他の子どもたちとの交流がないために,社会性が欠如している子ども(3歳)が,「おうたの会」に参加したことがきっかけに,他の子どもたちと遊べるようになったという事例があります。
最後に,おもちゃコンサルタント,プレイリーダー,臨床心理士との連携です。当院では毎月第3火曜日に「わくわく広場」を実施しています。これは外来通院中の慢性疾患児を対象とした発達グループの医師による活動で,1時間半程度,個別のニーズに応じた遊びを提供しています。これに関わるスタッフは,おもちゃコンサルタント,プレイリーダー,CLS,看護師,臨床心理士,保育士,音楽療法士,秘書,医師など多岐にわたります。「わくわく広場」の目的は,閉じこもりがちな親子に遊び場を提供し,子どもの興味と活動を広げることです。遊びを通じて,アタッチメント(母子の愛着関係)を形成し,母親同士の交流と情報交換の場となり,また養育相談の場ともなります。
今後のCLSの課題としては,チャイルド・ライフの活動の拡大(プリパレーション,ディストラクションの実施),他職種との協力体制と役割分担の確立,ボランティアの増員に対するリーダー,コーディネーターとしての役割の確立などが挙げられます。
V.「博慈会記念総合病院における病棟保育について」
河野 拓二(博慈会記念総合病院病棟保育士)
まず病棟保育士を志したきっかけについてお話ししたいと思います。私は横浜の幼稚園に勤務していた頃に「こども病院24時」というテレビ番組を見たのがきっかけで,病棟保育に興味を持ち,病棟保育士になりました。平成13年5月より当院に勤務しています。
当院は急性疾患が多い病院で,また二次救急でもあり患者の平均在院日数は短いです。規模は377床で小児科は20床あります。東京都足立区内の小児科診療で唯一24時間体制をとっています。なお私は,平日のみの勤務(08:30〜17:15)です。
保育目標は,保育や遊びを通じて,楽しく・明るく・安心できる入院生活が送れるようにすること,患児ならびに家族との深い信頼関係を築くこと,患児ならびに家族の立場に立って物事を考えることです。また保育士の役割としては,入院患児が安心して,楽しくストレスのない入院生活が送れるように環境を整えること,病状や成長発達に考慮した遊びや保育計画を立案すること,基本的な生活習慣を身につけさせ自立を図るなどがあげられます。私は当院での保育士としての活動の他,日本小児保健学会や日本医療保育学会での発表活動や病院付属の看護学院での講義(年2回)などを行っています。
保育士活動の一日の流れは,以下のようなものです。
8:30 申し送り
9:00 入院の子どもへ挨拶
10:00保育準備
10:30設定保育
11:30紙芝居
12:00昼食
14:00病室を廻って保育(病室から出られない患児を対象に)
15:00おやつ
15:30〜17:15保育など(臨機応変に)
17:15勤務終了
保育士が男性であることの悩みとしては,授乳中のときに困ることがある,小さい子(人見知りのある主に1〜2歳女児)に泣かれることがある,付き添っているお母さんは時として男性保育士だと話しにくいことがある(母の女性特有の事情など)があります。逆に男性保育士でよかったこととしては,男児に人気があることです。心強い,力強い,頼りがいがあると思われているようです。私の急性期病院においての経験から保育士業務に役立つ特性は,以下の3つのことだと思います。
・遊びの知識がたくさんある人
・頭の柔らかい,柔軟性のある人
・雑学がたくさんある人
今後,大切にしたいことですが,年数を重ねるにつれて,子どもの立場に立つように努力はしていても,医療者側の意見になりがちなことがあります。そうならないためにも,常に子どもや家族の視点を大切にしながら活動していきたいと考えています。
パネルディスカッション(抜粋)
質問:病棟保育活動の遂行や啓蒙していくための工夫・配慮はありますか?
鈴木:当院は比較的自由に活動を実施できます。それぞれの職種などで既成概念があるため,保育活動を実施しつつ,効果を示し啓蒙してきたし,これからも啓蒙していきたいです。また,感染面の配慮を大切にしたいと思います(清潔面や,保育士が感染媒体とならないように)。また多職種間の衝突などもありますが,保育活動は子どもや家族からよい評判があるので,遂行しています。ただ所属が看護部で上司が看護部長なので勤務評価がしにくい点もあります。さらに大人になっていく過程での問題(地域参加や金銭面など,呼吸器をつけている子どもの保育園入園の裁判勝訴など)にも関与していくことが大切だと思います。
質問:男性保育士としての問題は?特に多職種との連携で苦労することはありますか?
河野:最初は男性ということで驚かれましたが、現場は保育士を求めていたため,受け入れはスムーズでした。私は当院では古株になってきている。男性で年上ということで,若い病棟スタッフは声をかけにくいこともあるようなので,若いスタッフとの距離を縮める努力も大切だと考えています。
質問:病棟保育士の就職について,求人情報をどのように知り,採用になったのか教えて下さい?
鈴木:在学中に保育ボランティアとして活動させていただいた際に病棟保育士に指導をしてもらっていました。卒業後,神奈川県立こども医療センターから就業のお話しがあり,県職員という枠ではなく,病院採用での採用となりました。現在の職場も紹介されて就職することになりました。
井口:順天堂大学の医師・田中恭子先生の記事を読み,直接電話をしました。当初はボランティアとして働きました。最近はCLS導入に興味を示す病院からチャイルド・ライフ研究会に連絡が入ることもあるそうです。
早田:カナダにいるとき,募集がある旨を聞いており,就職することができました。
河野:以前は約7年間幼稚園の勤務をしていましたが,幼稚園勤務を3年ぐらいした頃に病棟保育に興味を持ちました。平成13年に本格的に転職を考え,小児科のある病院は少ないながらも,手当たり次第アプローチしました。
質問:建築や設備など病棟保育の環境について気づく点,改良を提案する点はありますか?
早田:病棟はアニメのキャラクターなどで楽しげに装飾されていてよいと思いますが,プレイルーム内に流し台があると良いと思います。またプレイルームは処置室の向かいにありますが,処置中の声が時折聞こえ,子どもたちが不安になることもあるため,配慮があるといいと思います。
柳澤:装飾にキャラクターを用いる場合は,息の長いキャラクター(流行り廃りの少ないもの)が描かれるといいと思います。
井口:小児科というと,幼児が想像されますが,就学児もいます。就学児にとって,幼児配慮のみの病棟は動きにくい面もあるため,大きい子どもへの工夫・設えもあるといいと思います。
柳澤:海外の小児病院だと部屋を分けたり設備を整えたりティーン・エイジャー用の配慮があることが多いのですが,我が国でもその促進を図るべきだと思います。また米国などではよく見られますが,プレイルームなどの整備に関しては年齢別のみならず,疾患別の配慮なども望まれます。
鈴木:当院は,安全で目が届きやすいようにガラス張りの部屋が多いのですが,開放的な空間だけではなく子どもが隠れたり,落ち着いて遊べたりする空間もあるといいと思います。また屋外は,外の空気を感じられるようにテラスになっており開放感がありますが,晴れの日はいいのですが,雨が強く降ると点滴のアラームが聞こえにくい,また夏は暑くなりやすいなど短所もあります。また以前に務めていた神奈川県立こども医療センターは,アートワークがインテリアに多く設置されていました。鈴木:コンセントは点滴に使用することなどで利用しますが,もっと多いと使いやすいと思います。
河野:当院は都市部にあるので,窓を開けると殺風景です。また当院では,かわいらしい壁紙を多用しない方針のため,素敵なものを飾りたいと思います。また実現は大変だと思いますが「保育士コール」があるとよいのではないかと思います。
質問:保育士の作業スペース・居場所についてどう思いますか?
鈴木:遊具や教材などを広げっぱなしにできるように,占有できる保育室があるといいと思います。
井口:机(せめて記録できる机1つ)と収納スペース(適切な高さに収納できる)が必要だと思います。
早田:2人に同感です。机は,現在はナースステーションやプレイルームの机を利用していますが,集中して記録できないことも多いです。
河野:当院では保育士の机がありますが,大切だと思います。
柳澤:患者も病院のスタッフも共用で使えるデスク・テーブルが置かれたコモンスペースも必要だと思いますが,1人や同僚だけでいられるようなプライベートな場所も必要だと思います。
質問:資格認定制度や就職先など現状はいかがですか,また今後何が必要だと思いますか?
鈴木:情報を提供していくことが大事だと思います。
井口:CLS教育を一般化していくことが大事だと思います。
早田:CLSになりたい,チャイルド・ライフを勉強したいと志す方はたくさんいると思いますが,現状ではアメリカまたはカナダに留学しなければならず,断念せざるを得ない方がいると思います。日本でもチャイルド・ライフの勉強ができ,CLSの養成を可能にしていくことが大切だと思います。
河野:医療従事者は疾病を理解しているものの,保育について知らない面もあります。その両者(一般の元気な子供を知っていることは大切)を学ぶことが大切だし,その専門性が求められると思います。
記録:鈴木健太郎(NPHC運営委員,千葉医療福祉専門学校作業療法学科・講師)
監修:柳澤要(NPHC代表,千葉大学工学部デザイン工学科・助教授)